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34回生森本(旧姓雨堤)照代です。今回の執筆にあたり須磨海苔というお題を頂いたのでそれについて書かせて頂きます。
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海苔にも季節があるのをご存知でしょうか?味付海苔や焼海苔、コンビニのおにぎりに巻かれている海苔など一年中目にしますが、製造しているのは12月から4月頃までの寒い季節です。
日本人ならほとんどの人が食べたことがあるであろう海苔・・・全国では約81億枚(2013年現在)の乾海苔が製造されています。そのうち有明海で約50%、瀬戸内海で約30%、その他三重、愛知、千葉、宮城などで作られています。そして須磨海苔とは神戸市内で作られている海苔のことをさし、2007年に地域ブランドとして商標登録されました。たんぱく質・アミノ酸・カルシウムなどの栄養が豊富で色が黒く、肉厚であることが須磨海苔の特徴です。年間8千万枚〜9千万枚ほどが須磨海苔として出荷されます。

ここで少し海苔の歴史について触れたいと思います。海苔は飛鳥の頃から食用され、宮中や貴人への献上品とされていました。海苔養殖が始まった江戸時代には海苔の生態が不明だったため年によって収穫量が違っていたそうです。海苔の胞子が貝殻の中に入り込み糸状の形になるということが明らかになったのは1949年のことで、その後研究が重ねられ大量に生産することが可能になりました。

乾海苔ができるまでを少し説明したいと思います。説明にでてくる海苔網は1枚2m×23mの大きさです。

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現在では優性な胞子が選抜され、試験管の中で作られます。その胞子をカキ殻につけて水温管理したものを海苔網に付着させます。付着した胞子が多すぎると成長を阻害し合うし、少なすぎると海苔網に広がりにくいので難しい作業です。この時点で肉眼視できません。種付けが終わった海苔網は-25℃でいったん冷凍保存されます。
この時期に後に海苔網を張る海苔棚を海上に設置します。

〈10月下旬〉
水温23℃を目安として育苗が始まります。
冷凍保存していた海苔網を10枚重ねにして海上に設置します。10日目くらいに海苔が肉眼で見えるようになり、さらに10〜15日後長さ1〜2㎝になります。

〈11月中旬〉
長さ1〜2㎝に育った海苔がついた網を海からあげて、

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〈11月下旬〉
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摘採・製造が始まります。ここからは製造が終わる4月中旬頃まで毎日続きます。 本張り後約二週間で30㎝程度に成長します。そして潜り船という船で網の下をくぐり海苔カッターを使って海苔を摘み採ります。摘み採った海苔は海苔工場で洗われゴミを除去しミンチ状に裁断します。塩分を抜いた後海苔と水の濃度を調節して海苔の型取りをします。(巻きずしを巻く巻きすに似た「ノリす」に海苔をすきますが紙すきをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません)

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その後約2時間半乾燥し「ノリす」からはがして乾海苔の出来上がりです。

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工場での工程はすべての機械がラインでつながっていますが海苔の厚みの設定や乾燥の温度調節など海苔を手で触ったり目で見たりすることで判断するので今までの経験が必要になります。それによって海苔の出来具合がかわってしまいます。出来上がった乾海苔はゴミなどの異物が混入したものや破れているものを除いて100枚の束になった乾海苔を梱包します。

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〈4月中旬〉
水温が上昇して品質が悪くなってくると製造が終わります。それは毎年桜が散るのと同時で、植物は季節の移ろいを人間よりよく分かっているように思います。その後海上にある海苔棚などを撤去してシーズンが終了します。さきほど潜り船で海苔を摘み採っていくと書きましたが、摘み採ってもまた成長するので1枚の海苔網から何回か摘み採ることができます。

潜り船
海苔網の下をくぐって海苔を摘み取っています

1回目に摘み採った海苔を新芽海苔と言い香りも良くやわらかいので口の中でとろける感じがします。わが社の味付海苔・焼海苔はこの新芽海苔を使って作っています。1回目に摘み採ってから10〜12日後くらいに再び海苔が成長してくるので2回目の摘み採りをし、そしてまたその10〜12日後3回目の摘み採りと続いていきます。10回目くらいまで摘み採りは可能ですが6回目くらいで海苔の品質が悪くなるので網を張り替えます。

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今回海苔について書いたことで、普段何気なく食べている海苔がたくさんの人の手がかけられ日々研究が重ねられておいしい海苔が食べられるのだということをあらためて認識しました。海苔だけではなくモノづくりに携わっている人はいろんな思いがつまったモノを作っていることでしょう。

最後に私たち漁業者にとって大切な海について少しお話したいと思います。

昭和の高度成長期に工場廃水などにより海が汚染され人体にまで影響を及ぼすようになり環境問題がクローズアップされました。瀬戸内海環境保全法という法律が制定され水質を厳しく管理することによって海がきれいになってきました。でもそれはただ見た目がきれいということで、生物に必要なリンや窒素などに対しての規制が厳しくなり海水中の栄養分が少なくなりました。清水に魚棲まずということわざがあるようにまさに魚にとっていい環境とは言えなくなってきました。また大阪湾は埋め立てが多く垂直護岸を造ることで生物が産卵する浅場・藻場が少なくなり、生態系に悪影響を及ぼしています。そして本来土の中に含まれる様々な物質が雨水や地下水にとけこみ、河川を通じて海に運ばれ海の生物の餌になり食物連鎖がすすんでいくというサイクルが、山を削ったり、治水工事で河川がボックスカルバートになったり、海を埋め立てたりすることによって崩れてしまっています。そこで近年里海という考えが取り入れられるようになってきています。里海とは人と自然が共生する場所であり人手が加わることにより生物生産性と生物多様性が高くなった沿岸地域のことをいいます。今まで人間が便利さのために自然をかえてしまったのでこれからは里海活動を行い人の手を加えて山・川・海がつながり生物が棲むことができる海にしていかなくてはいけないと思っています。須磨海岸でも多くの市民の皆さんが、クリーンキャンペーン等で海岸線を清掃したり、また私たち漁業者も海中清掃や海底耕耘(海底に堆積物をかくはんし青潮やヘドロ化を防ぎ底生生物を棲みやすくする)などに取り組んでいます。漁業に従事することで海を守り後世に残していくのが務めだと思っています。